小規模事業者持続化補助金<一般型・通常枠>(第20回)の公募要領のポイントを解説します

2026年5月27日、「小規模事業者持続化補助金<一般型・通常枠>(第20回)」の公募要領(第7版)が公開されました。

リンク先:中小企業庁ウェブサイト
     商工会地区 小規模事業者持続化補助金事務局ウェブサイト
     商工会議所地区 小規模事業者持続化補助金事務局ウェブサイト

小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者等が自ら策定した経営計画に基づき、販路開拓等に取り組む場合に、その経費の一部を補助する制度です。

第20回公募では、前回までの制度内容から複数の変更点があります。
特に、賃金引上げ特例の考え方、広報費・ウェブサイト関連費の上限、補助事業期間、過去採択事業者の再申請の取扱いなどは、申請を検討する事業者にとって重要です。

本記事では、第20回公募の概要と、事業者が確認しておきたい主な変更点を整理します。

第20回公募の主なスケジュールは、以下のとおりです。

項目日程
公募要領公開2026年5月27日(水)
申請受付開始2026年11月5日(木)
事業支援計画書(様式4)発行の受付締切2026年12月4日(金)
申請受付締切2026年12月15日(火)17時
採択発表予定2027年3月頃
補助事業実施期限2028年3月31日(金)
見積書等提出期限2028年2月29日(火)

申請受付開始は2026年11月5日とされていますが、申請にはGビズIDプライムの取得や、商工会・商工会議所による事業支援計画書(様式4)の発行が必要です。

特に様式4については、発行依頼の締切が申請締切より前に設定されています。
締切直前に相談を始めると、申請に間に合わない可能性があるため、早めの準備が必要です。

第20回公募の基本的な補助上限額は50万円です。

ただし、一定の要件を満たす場合には、以下の特例による上乗せがあります。

区分補助上限額
通常枠50万円
インボイス特例50万円上乗せ
賃金引上げ特例150万円上乗せ
インボイス特例・賃金引上げ特例の両方200万円上乗せ

補助率は原則として3分の2です。ただし、賃金引上げ特例のうち赤字事業者に該当する場合は、補助率が4分の3となります。

なお、補助金は後払いです。採択や交付決定を受けた場合でも、まずは事業者が自己資金で支払いを行い、実績報告後に補助金が支払われる仕組みです。

第20回公募で特に注意が必要なのが、賃金引上げ特例の要件です。

前回までの公募では、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げることが中心的な要件とされていました。
これに対し、第20回公募では、補助事業実施期限日を終点とする連続12か月と、その前年同月の12か月を比較し、従業員1人あたり給与支給総額を年平均3.0%以上増加させることが要件とされています。

この変更により、単に時給を一定額引き上げれば足りるという整理ではなく、給与支給総額、従業員数、勤務時間、退職・休職・中途採用の有無などを踏まえて、要件を満たせるかを確認する必要があります。

また、賃金引上げ特例を希望した場合、通常枠および賃金引上げ特例の要件を1つでも満たさないと、上乗せ部分だけでなく補助金全体が交付されない取扱いとされています。

賃金引上げ特例を活用する場合は、申請時点の計画だけでなく、実績報告時に必要となる賃金台帳や雇用条件を示す書類の準備も見据えることが重要です。

第20回公募では、広報費とウェブサイト関連費について、それぞれ補助金交付申請額の上限が30万円とされています。

広報費には、パンフレット、ポスター、チラシ、インターネット広告、SNS広告などの作成・活用に係る経費が含まれます。
ただし、広報費のみでの申請はできず、他の経費とあわせて申請する必要があります。

また、ウェブサイト関連費についても、ウェブサイトやECサイト、システム等の開発・構築・更新・改修・運用に要する経費が対象となりますが、ウェブサイト関連費のみでの申請はできません。

従来、持続化補助金ではホームページ制作やチラシ作成を中心に検討されるケースも多くありました。
しかし、第20回公募では、広報費・ウェブサイト関連費の上限や単独申請不可の取扱いを前提に、販路開拓全体の計画を組み立てる必要があります。

第20回公募では、広報費の説明に「インターネット広告・SNS広告」が明記されています。

一方で、自社ホームページやECサイトに使用する動画・写真の制作費用などは、広報費ではなくウェブサイト関連費に計上する取扱いとされています。

そのため、オンラインでの販路開拓を予定している場合には、次のような整理が必要です。

内容経費区分の考え方
SNS広告、インターネット広告の掲載広報費
チラシ、カタログ、看板など広報費
自社ホームページ、ECサイトの作成・更新ウェブサイト関連費
ECサイト掲載用の宣材写真制作ウェブサイト関連費
顧客管理システム、業務効率化ソフトウェア等ウェブサイト関連費

同じ「販促」に関する費用であっても、どの経費区分に該当するかによって、上限額や必要書類の整理が変わります。
見積書を取得する段階から、経費区分を意識しておくことが重要です。

第20回公募では、新商品開発費について、テストマーケティングや市場調査を行った結果を踏まえたもの、またはそれらを伴うものが補助対象になる旨が示されています。

このため、単に新商品を作るというだけではなく、どのような市場や顧客ニーズを確認し、その結果を踏まえてどのような商品・サービスを開発するのかを説明できるようにしておく必要があります。

申請時点で市場調査やテストマーケティングが未実施の場合でも、実績報告時にその内容や結果の記載が求められるため、事業実施中の記録を残しておくことが重要です。

過去に小規模事業者持続化補助金で採択を受け、補助事業を実施した事業者については、再申請の可否に注意が必要です。

第20回公募では、過去に対象となる補助事業を実施した事業者について、事業効果および賃金引上げ等状況報告書の提出を完了した後、さらに一定期間が経過してから再度の申請が可能とされています。

また、過去に実施した補助事業と同じ内容であると判断される場合、不採択や採択取消しの対象となる可能性があります。

過去に採択を受けた事業者が再度申請する場合は、前回の補助事業と今回の取組がどのように異なるのか、今回の事業に新たな販路開拓上の必要性があるのかを明確に整理する必要があります。

小規模事業者持続化補助金の申請では、行政書士などの専門家が、制度要件の確認、必要書類の整理、申請書類作成の支援、事業計画の文章化に関する助言などを行うことがあります。

一方で、本補助金は、事業者が自ら経営計画を策定し、販路開拓等に取り組むことを支援する制度です。
そのため、専門家に相談する場合であっても、経営課題、補助事業の内容、期待される効果については、申請者である事業者自身が主体的に検討し、内容を確認する必要があります。

第20回公募要領でも、事業者自らが検討しているような記載が見られない場合や、事業者自身が検討していなかったことが判明した場合には、不採択または交付決定取消となる可能性がある旨が示されています。

また、商工会・商工会議所を除く第三者から支援を受けた場合には、支援者の名称や支援に係る金額を申告する必要があります。
着手金や成功報酬などの名目にかかわらず、支援費用の記載がない場合には、虚偽の報告として取り扱われる可能性があります。

なお、申請に使用するGビズIDプライム等のアカウントやパスワードを第三者に開示することは、GビズIDの利用規約に反する行為とされています。
電子申請の代理可否や入力支援の範囲については、公募要領、電子申請システムの仕様、事務局の案内を確認したうえで対応する必要があります。

補助金申請に専門家が関与する場合であっても、最終的には申請者本人が制度内容と申請内容を理解し、責任をもって確認することが重要です。

第20回公募は、申請受付開始まで一定の期間があります。しかし、申請準備には時間を要するため、次の事項は早めに確認しておくことが望ましいといえます。

確認事項内容
GビズIDプライム未取得の場合は早めに取得手続きを行う
商工会・商工会議所の管轄事業所が商工会地区か商工会議所地区か確認する
事業支援計画書(様式4)発行依頼の締切が申請締切より前である点に注意する
補助対象経費広報費・ウェブサイト関連費の上限や単独申請不可の取扱いを確認する
賃金引上げ特例給与支給総額、従業員数、賃金台帳等を確認する
見積書採択後の交付決定に向けて、価格の妥当性を説明できる資料を準備する
事業計画売上高・売上総利益の増加見込みを客観的に説明できるようにする

小規模事業者持続化補助金<一般型・通常枠>(第20回)は、従来と同様に、小規模事業者の販路開拓等を支援する制度です。

一方で、第20回公募では、賃金引上げ特例の要件、広報費・ウェブサイト関連費の上限、オンライン広告やウェブ関連経費の整理、新商品開発費の考え方など、申請実務に影響する変更点があります。

特に、賃金引上げ特例を活用する場合には、要件を満たせなかった場合の影響が大きいため、申請前に慎重な確認が必要です。

申請を検討している事業者の方は、まず公募要領を確認し、自社の取組が補助対象となるか、どの経費区分で申請するか、必要な書類を期限までに準備できるかを整理しておくことが重要です。

補助金申請では、制度の概要を把握するだけでなく、自社の経営課題、販路開拓の目的、期待される効果を具体的に説明することが求められます。早めに準備を始めることで、計画内容や必要書類を落ち着いて確認しやすくなります。

補助金申請の制度選定や事業計画書作成、実績報告のサポートをご希望の方は、各種補助金申請サポートページもご確認ください