【建設業許可】個人事業から法人化すると許可はどうなる?法人成りで確認したい事業承継の認可

個人事業として建設業を営んでいる事業者が、取引規模の拡大、後継者への承継、採用力の向上などを目的として法人化することがあります。

ただし、法人を設立しただけで、個人事業主名義の建設業許可が新設法人へ自動的に移るわけではありません。

法人化の時期と建設業許可の手続きを適切に調整しなければ、許可を必要とする工事を請け負うことができない期間が生じる可能性があります。

本コラムでは、北海道知事許可を受けている個人事業主が法人成りする場合を中心に、建設業許可の事業承継認可について解説します。

個人事業主と新たに設立した法人は、法律上それぞれ別の事業主体です。

そのため、個人事業主が建設業許可を受けていても、新設法人がその許可番号を当然に使用できるわけではありません。

法人成り後も法人として許可を必要とする建設工事を請け負う場合、主に次のいずれかの方法を検討することになります。

  • 法人が新規に建設業許可を申請する
  • 事前に事業承継の認可を受け、個人事業主の建設業者としての地位を法人へ承継する

従来は、事業譲渡、合併、会社分割などが行われると、新たな事業者が改めて許可を取得する必要があり、旧事業者の廃業から新しい許可を受けるまでに空白期間が生じることがありました。

現在は、建設業法に基づく事業承継の認可を事前に受けることにより、承継日に合わせて建設業者としての地位を引き継ぐことができます。

建設業許可が必要になる工事や許可要件についてはこちら

北海道の建設業許可申請の手引では、個人事業主が事業形態を法人へ変更する法人成りは、「譲渡及び譲受け」の認可申請に含まれると明記されています。

認可を受けると、法人は単に許可番号だけを引き継ぐのではなく、建設業者としての権利と義務を含む地位を承継します。

具体的には、次のような事項も承継の対象となります。

  • 個人事業主が受けていた建設業許可
  • 建設業法に基づく届出書類等の提出義務
  • 過去に受けた監督処分
  • 経営事項審査の結果

承継後の許可の有効期間は、個人事業主の許可に残っていた期間にかかわらず、原則として承継日の翌日から5年間となります。

許可番号についても、原則として承継元である個人事業主の番号を使用します。

法人成りであれば、必ず建設業許可を承継できるわけではありません。

承継先となる法人は、通常の新規許可申請と同様に、建設業許可の要件を満たす必要があります。

主な確認事項内容
経営業務の管理体制常勤役員等に必要な経営経験があり、適正な経営管理体制が確保されていること
営業所技術者等許可を受ける業種に対応する資格又は実務経験を持つ者が、営業所に常勤していること
社会保険法人として健康保険、厚生年金保険及び雇用保険について適切な加入・届出が行われること
財産的基礎一般建設業又は特定建設業の区分に応じた財産的要件を満たすこと
誠実性・欠格要件法人、役員等が誠実性の要件を満たし、欠格要件に該当しないこと
営業所法人が建設業の営業所として使用できる事務所を確保していること

特に注意が必要なのが、許可業種の取扱いです。

事業承継認可では、承継元が許可を受けている建設業の全部を承継することが原則とされており、一部の業種だけを選んで承継することはできません。

また、承継元と承継先が同じ業種についてそれぞれ許可を持ち、一方が一般建設業、もう一方が特定建設業という異なる区分になっている場合は、認可申請前に不要な区分の許可を廃業するなどの整理が必要です。

事業承継認可で最も重要になるのが、法人化と申請のスケジュールです。

北海道の手引では、申請が見込まれる場合、承継の日の3か月前までに一度相談するよう案内されています。

事前相談がない場合、書類の補正などに時間を要し、法人へ事業を承継する日までに認可を受けられない可能性があります。

法人成りを進める際は、少なくとも次の事項を一体として整理する必要があります。

  1. 法人の設立時期
  2. 個人から法人へ事業を移す日
  3. 法人側の常勤役員等及び営業所技術者等
  4. 法人が使用する営業所
  5. 事業譲渡に関する契約又は意思決定
  6. 社会保険等の加入・届出時期
  7. 個人事業主名義の契約、車両、機械、口座等の取扱い

認可申請自体には、北海道の申請手数料はかかりません。ただし、法人設立登記、証明書の取得、各種契約の変更などには、それぞれ別の費用が発生します。

また、承継日後に提出する社会保険関係の書類については、承継した日から2週間以内に提出する必要があります。未提出の場合には、許可が取り消される可能性があるため、承継前から関係手続の時期を調整しておく必要があります。

承継日より前に認可を受けられなかった場合は、原則として個人事業主が廃業届を提出し、法人が新規許可を申請することになります。

この方法では、個人事業主が廃業した日から法人が新たな許可を受けるまで、法人は許可業者として営業することができません。

この間は、法人名義で許可を必要とする規模の建設工事を請け負うことができず、予定していた契約や着工時期に影響する可能性があります。

法人を先に設立し、その後に建設業許可のことを検討するのではなく、法人化の計画段階から許可要件と申請時期を確認することが重要です。

北海道では、建設業許可申請や経営事項審査について、建設業許可・経営事項審査電子申請システム「JCIP」による電子申請が行われています。

建設業許可の電子申請・JCIPについてはこちら

一方、現行のJCIPは、事業承継等の認可申請には対応していないと許可行政庁から案内されています。

北海道でも、通常の建設業許可申請とは別に、事業承継の認可申請書様式と専用の送付票が公開されています。したがって、GビズIDを取得している事業者であっても、通常の更新申請や変更届と同じ方法で手続が完結するわけではありません。

法人成りを予定している場合は、提出先となる振興局と事前に手続方法を確認し、書面で提出する認可申請書や添付書類を準備する必要があります。

法人成りでは、建設業許可の承継認可だけでなく、法人設立登記、税務上の届出、社会保険・労働保険、取引先との契約名義、車両・機械・事務所の名義など、複数の手続が関係します。

建設業許可の認可を受けても、これらの手続が自動的に完了するわけではありません。

行政書士が担当する建設業許可手続に加え、法人設立登記は司法書士、税務は税理士、社会保険・労働保険は社会保険労務士など、必要に応じて関係専門家と役割を分けて進めることが重要です。

公共工事を受注している事業者については、建設業許可だけでなく、経営事項審査や各発注機関の入札参加資格についても、承継後の取扱いを個別に確認する必要があります。

個人事業主が法人を設立しても、個人名義の建設業許可が自動的に法人へ移ることはありません。

事前に事業承継の認可を受けることで、許可業者としての空白期間を生じさせず、法人へ建設業者としての地位を引き継げる可能性があります。

一方で、法人側が許可要件を満たしていること、全ての許可業種を承継すること、一般・特定建設業の区分を整理することなど、認可には複数の条件があります。

北海道では承継日の3か月前までの相談が案内されているため、会社設立後ではなく、法人成りの時期を検討する段階から準備を始めることが重要です。

さっぽろ本田行政書士事務所では、札幌市を中心に、北海道知事許可の新規・更新・変更届のほか、法人成りや事業譲渡に伴う建設業許可手続についてご相談を承ります。

建設業許可の申請代行については、「札幌・北海道の建設業許可申請サポートページ」もご確認ください。