【在留資格】外国人材を初めて受け入れる企業が採用前に決めたい7つの準備|業務設計・採用ルート・受入れ体制
外国人材の採用は、求人を出して候補者を選ぶところから始まるとは限りません。
在留資格によって認められる活動が異なるため、企業側が担当業務や採用方法を決めないまま候補者を探すと、採用後に予定していた仕事を担当させられない、就労開始までに必要な許可が間に合わないといった問題が生じることがあります。
厚生労働省の集計では、2025年10月末時点の外国人労働者数は257万1,037人、外国人を雇用する事業所数は37万1,215所となり、いずれも届出が義務化されて以降の最多を更新しました。
出典:厚生労働省ウェブサイト 「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和7年10月末時点)
外国人雇用が広がる一方、初めて受け入れる企業では、在留資格の確認だけでなく、採用前から入社後までの社内体制を順序立てて準備することが重要です。
準備1 採用の目的と担当業務を具体化する
最初に決めるべき事項は、「どの在留資格で採用するか」ではなく、「どのような業務を、どのような働き方で担当してもらうか」です。
求人票や職務記述書には、少なくとも次の事項を具体化します。
- 配属する部署と勤務地
- 主な担当業務
- 1日の業務のうち各作業が占める割合
- 雇用期間、所定労働時間及び給与
- 必要な学歴、専攻、職歴、資格及び日本語能力
- 将来予定している配置転換や業務変更
在留資格の該当性は、職種名ではなく実際の活動内容に基づいて判断されます。
例えば、同じ「通訳・海外営業」「システムエンジニア」「店舗スタッフ」という名称でも、具体的な業務内容によって必要な在留資格や就労の可否が異なります。
準備2 業務に対応する在留資格を確認する
担当業務が決まった後、その業務を行うことのできる在留資格と、候補者本人に求められる要件を確認します。
外国人の就労に関係する在留資格は、概ね次のように整理できます。
| 区分 | 主な例 | 採用時の考え方 |
| 専門的・技術的分野等の就労資格 | 技術・人文知識・国際業務、介護、技能、企業内転勤など | 在留資格ごとに定められた専門的な活動の範囲で就労します |
| 特定の制度に基づく就労資格 | 特定技能、技能実習、2027年4月施行の育成就労など | 対象分野、受入れ機関の要件、支援又は監理等の制度固有の手続きがあります |
| 身分又は地位に基づく在留資格 | 永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者 | 入管法上の就労活動に制限はありません |
| 原則として就労を目的としない在留資格 | 留学、家族滞在など | 資格外活動許可がある場合に限り、許可された範囲で就労できることがあります |
| 個別に活動が指定される在留資格 | 特定活動 | パスポートに添付された指定書等で、就労の可否と活動範囲を確認します |
「外国人であれば同じ在留資格を利用できる」というものではありません。
予定する業務、本人の経歴、雇用形態、受入れ企業の体制を合わせて検討する必要があります。
準備3 国内採用か海外採用かを決める
外国人材の採用ルートは、大きく、日本国内に在留している人を採用する方法と、海外在住者を日本へ呼び寄せる方法に分かれます。
日本国内に在留している外国人を採用する場合
在留カード又は特定在留カード、パスポート、必要に応じて指定書を確認し、在留資格、在留期間の満了日、就労制限及び資格外活動許可の内容を確認します。
なお、2026年6月14日以降に交付された在留カード等では、在留期間そのもの・許可の種類・許可年月日・交付年月日が券面に記載されず、ICチップへの記録に一本化されています。
これらの詳細を確認する場合は、出入国在留管理庁が無償提供する「在留カード等読取アプリケーション」の利用が必要です。
*現在、アプリの改修が完了しておらず、新様式のカードの情報が一部表示不可となっています。(9月頃対応予定)
詳細は出入国在留管理庁サイトでご確認願います
現在の在留資格で自社の業務を行えない場合は、原則として、在留資格変更許可を受けてから就労を開始します。
前職と同じ在留資格を持っている場合でも、新しい勤務先で予定する業務がその在留資格に該当するとは限りません。
海外にいる外国人を採用する場合
一般的には、日本の受入れ企業等が在留資格認定証明書交付申請を行い、証明書の交付後、本人が在外公館で査証申請を行います。
その後、上陸審査を経て日本へ入国し、就労を開始します。
採用内定から入社までには、申請書類の準備、在留審査、査証申請、渡航準備などの期間が必要です。
日本人の中途採用と同じ入社日を前提に進めるのではなく、在留手続を含めた採用日程を設定する必要があります。
準備4 候補者の要件と提出資料を早い段階で確認する
予定する在留資格によっては、候補者の学歴、専攻、職歴、資格、技能試験、日本語試験などが要件となります。
海外の卒業証明書や職歴証明書は、取得に時間を要することがあります。
また、文書の内容に応じて日本語訳の添付が必要です。
採用を決定してから書類不足が判明することを避けるため、候補者の同意を得た上で、選考の早い段階から次の資料を確認します。
- パスポート
- 日本国内在留者の場合は在留カード又は特定在留カード
- 卒業証明書、学位証明書、成績証明書
- 職歴証明書
- 資格証明書、技能試験・日本語試験の合格証明
- 「特定活動」の場合は指定書
個人情報を必要以上に収集せず、利用目的、保管方法及び閲覧権限を社内で定めることも必要です。
準備5 雇用条件と説明方法を整える
外国人労働者にも、労働基準法、最低賃金法その他の労働関係法令が適用されます。
在留資格の取得を理由に、日本人より不当に低い賃金を設定できるものではありません。
雇用契約書や労働条件通知書では、賃金、労働時間、休日、就業場所、担当業務、契約期間、退職に関する事項などを明確にします。
日本語だけでは本人が内容を十分に理解できない場合は、母語又は本人が理解できる言語による説明資料の準備も検討します。
単に翻訳文を渡すだけでなく、給与から控除される費用、住居費、通勤方法、社内規程など、入社後に認識の違いが生じやすい事項を事前に説明することが重要です。
労働条件、社会保険及び労働保険の具体的な手続きについては、担当する社会保険労務士等へ確認します。
準備6 在留手続と入社日を連動させる
在留資格変更許可又は在留資格認定証明書の交付は、雇用契約を締結すれば当然に認められるものではありません。
採用計画では、次の時点を区別して管理します。
1. 採用内定日
2. 雇用契約の締結日
3. 在留申請日
4. 許可又は在留資格認定証明書の交付日
5. 入国日
6. 就労開始日
特に、在留資格変更が必要な国内採用では、許可前に新しい在留資格で予定している業務へ従事させないよう注意が必要です。
審査期間を考慮し、雇用契約書では就労開始日や、必要な在留許可が得られなかった場合の取扱いを明確にしておくことが望まれます。
準備7 入社後の受入れ体制を決める
外国人材の受入れは、在留許可と入社手続で終了するものではありません。
少なくとも次の担当者と管理方法を決めておく必要があります。
- 在留期間の満了日を管理する担当者
- 業務内容や配置転換が在留資格に適合するか確認する担当者
- 労働条件、安全衛生及び社内規程を説明する担当者
- 生活上・職場上の相談を受ける窓口
- 雇入れ・離職時の外国人雇用状況届出を管理する担当者
厚生労働省の外国人雇用管理指針では、関係法令の遵守、適切な労働条件と安全衛生の確保、雇用管理の改善、離職時の援助などが示されています。
なお、同指針は育成就労制度の創設等を踏まえて令和8年5月に改正され、令和8年6月14日から段階的に適用されています。
支援の方法は、在留資格によって異なります。例えば、1号特定技能外国人については、受入れ機関が支援計画を作成して必要な支援を行い、自社で実施できない場合などは登録支援機関へ支援を委託します。
登録支援機関は、特定技能所属機関から委託を受け、1号特定技能外国人の支援計画に基づく支援を行います。
「技術・人文知識・国際業務」や身分に基づく在留資格は制度の対象ではなく、支援計画の作成や登録支援機関への委託は求められません。
ただし、これらの外国人についても、相談窓口の設置、生活・社内制度の説明、日本語学習への配慮など、定着に向けた環境整備は重要です。
民間事業者へ任意に委託することもできますが、登録支援機関の運営事業者が別途提供する人材紹介・定着支援は、登録支援機関制度に基づく法定支援ではありません。
雇入れ後は外国人雇用状況の届出が必要です
事業主が外国人を雇い入れた場合又は外国人が離職した場合は、在留資格「外交」「公用」の人及び特別永住者を除き、ハローワークへの外国人雇用状況の届出が必要です。
2026年7月時点の届出期限は、次のとおりです。
| 対象 | 雇入れ時 | 離職時 |
| 雇用保険の被保険者となる外国人 | 雇用保険被保険者資格取得届の期限である翌月10日まで | 雇用保険被保険者資格喪失届の期限である離職日の翌日から10日以内 |
| 雇用保険の被保険者とならない外国人 | 翌月末日まで | 翌月末日まで |
届出事項は、在留カード、特定在留カード又は旅券等の提示を受けて確認します。
在留カード等の写しを届出書へ添付する必要はありません。
採用前の確認事項
外国人材の募集を始める前に、次の事項を社内で確認します。
- 採用目的と担当業務が具体化されているか
- その業務に対応する在留資格を確認したか
- 国内採用と海外採用のどちらを想定するか
- 候補者本人に必要な学歴、職歴、試験等を確認したか
- 在留手続を含む採用日程を設定したか
- 雇用条件を本人が理解できる方法で説明できるか
- 入社後の在留期限管理と相談担当者を決めたか
- 外国人雇用状況の届出を行う担当者を決めたか
- 特定技能等の場合は、制度固有の支援・届出体制を確認したか
まとめ
初めて外国人材を受け入れる企業では、候補者を探す前に、採用目的、担当業務、採用ルート及び受入れ体制を整理することが重要です。
在留資格は、採用したい人に後から合わせるものではなく、実際に担当してもらう業務と本人の経歴を基礎として検討します。
国内採用と海外採用では必要な手続きと日程も異なるため、在留申請と就労開始日を含む採用計画を作成する必要があります。
当事務所では、現在、申請取次行政書士としての研修受講・届出に向けて準備を進めております。
現時点では、外国人雇用に関する在留資格の一般的な確認、採用に必要な手続きの整理、受入れ準備に関するご相談に対応しております。
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