【入管・国際業務】2027年4月施行「育成就労制度」の概要と、外国人を雇用する北海道の事業者が今から準備すべきこと

令和9年(2027年)4月1日、技能実習法が改正され、「外国人の育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する法律(育成就労法)」 が施行されます。
30年以上にわたって運用されてきた技能実習制度は発展的に解消され、新たに育成就労制度が始まります。
出典:厚生労働省 外国人育成就労制度について

農業・建設・飲食料品製造など、外国人材を受け入れている北海道の事業者にとって、制度の骨格が大きく変わるこの改正は無視できません。

令和8年(2026年)は、現行の技能実習制度のまま受け入れを継続しつつ、新制度への移行を準備する「過渡期」にあたります。以下、制度変更の概要と事業者が今から知っておくべき事項を整理します。

技能実習制度は「途上国への技術移転・国際貢献」を法的目的として設計されていましたが、実態としては国内の労働力不足を補う手段として機能してきたことが長年指摘されていました。
転籍が原則認められない構造のなかで、不当な労働環境からの逃げ場がなく、失踪者が増加するなどの問題が深刻化し社会問題の原因ともなっていました。
令和6年(2024年)6月に廃止を含む抜本的な制度見直しが成立し、育成就労制度の創設が決定されました。

育成就労制度の目的は「人材育成と人材確保」であり、技能実習制度のような「国際貢献」の建前は設けられていません。
3年間の就労を通じて、特定技能1号水準の技能と日本語能力を習得させ、その後も日本で長期就労できるキャリアパスを制度として明示した点が大きな特徴です。

項目技能実習(現行)育成就労(新制度)
制度目的技能移転・国際貢献人材育成・人材確保
在留期間最長5年原則3年(その後特定技能へ移行可)
転籍原則不可一定要件を満たせば可能
日本語要件職種・分野により異なる就労開始前にA1相当以上(N5等)
または相当講習
対象分野約90職種・165作業特定技能制度の分野を基礎に設定

育成就労制度で現場への影響が最も大きいのが、転籍(受け入れ機関の変更)の自由化です。

分野ごとに定められた就労期間(1〜2年)を経過し、技能・日本語能力の要件を満たした場合、外国人本人の意向による転籍が同一業務区分内で認められます。これにより、労働環境が良好な職場への転職が現実的な選択肢となります。

育成した人材の離職リスクが高まるという見方もある一方で、制度の目的として人材の長期定着が明示されているため、職場環境・処遇・コミュニケーション体制の整備が、これまで以上に人材確保の鍵となります。

令和9年4月1日施行時点で既に在籍している技能実習生については、認定を受けた技能実習計画が満了するまで現行制度のまま実習を継続できます。
制度施行に伴い、在籍中の技能実習生が強制的に育成就労に切り替えられることはありません。

ただし、令和9年4月1日以降の新規受け入れは育成就労制度のみとなります。
現在連携している監理団体(育成就労制度では「監理支援機関」へと再編)の準備状況も確認しておく必要があります。

当事務所は現在、入管申請取次者資格の取得に向けて準備中です。
取次資格取得後は在留資格の申請・変更・更新の代行が可能となります。

現時点では、外国人雇用に関連する在留資格の確認、制度変更に伴う手続きの整理、雇用契約書・就業規則等について関係士業と連携した確認など、一般的なご相談に対応しております。

育成就労制度は、技能実習制度からの単なる名称変更ではなく、人材育成・人材確保を目的とした新しい受入れ制度です。
施行時期、既存の技能実習生への経過措置、転籍の扱いを確認し、事業者側でも早めに準備を進めることが重要です。

ポイント内容
施行時期令和9年(2027年)4月1日
制度の位置付け技能実習制度を発展的に解消し、人材育成・人材確保を目的とする制度
既存の技能実習生計画満了まで現行制度で継続可
新規受け入れ施行後は育成就労制度を前提に確認が必要
転籍の扱い同一業務区分内で、一定の要件を満たす場合に本人意向による転籍が可能
今から取り組むこと監理支援機関の準備状況確認、職場環境の整備、日本語学習支援、制度情報の更新確認

2027年の制度移行まで約1年です。
北海道で外国人雇用を行っている、または検討されている事業者の皆様は、制度の全体像を早めに把握し、必要な社内整備を進めておくことをお勧めします。

当事務所では、現在、申請取次行政書士としての研修受講・届出に向けて準備を進めております。

現時点では、外国人雇用に関する在留資格の確認、必要手続きの整理、関係士業と連携した雇用管理上の確認など、一般的なご相談に対応しております。