【在留資格】転職時に確認したい就労資格証明書|現在の在留資格で新しい仕事ができるか
日本で就労している外国人が転職する場合、在留カードに記載された在留期間が残っていても、新しい勤務先で予定する業務をそのまま行えるとは限りません。
特に「技術・人文知識・国際業務」「技能」「介護」など、活動内容に基づく在留資格では、新しい勤務先における実際の業務が、現在の在留資格で認められる範囲に含まれているかを確認する必要があります。
この確認に利用できる制度の一つが「就労資格証明書」です。
本コラムでは、日本国内ですでに就労している外国人の方を対象に、転職時における就労資格証明書の役割と申請上の注意点を解説します。
転職後も同じ在留資格を使えるとは限りません
就労系の在留資格は、勤務先の会社名だけではなく、日本で行う活動の内容に基づいて認められています。
そのため、会社を転職しただけで必ず在留資格変更許可申請が必要になるわけではありません。
一方、転職前と転職後で在留資格の名称が同じであっても、新しい業務がその在留資格の活動範囲に含まれるとは限りません。
例えば「技術・人文知識・国際業務」の在留資格では、自然科学若しくは人文科学の知識を必要とする業務又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事することが前提となります。
転職後の業務がこの範囲に含まれるかは、職種名だけではなく、具体的な担当業務、本人の学歴・専攻・職歴、勤務先の事業内容、雇用条件などを踏まえて判断されます。
就労資格証明書とは
就労資格証明書は、外国人本人からの申請に基づき、その外国人が行うことのできる報酬を受ける活動などを、出入国在留管理庁長官が証明する文書です。
転職先で予定している業務について就労資格証明書の交付を受けることで、現在の在留資格でその業務を行うことができるかを、外国人本人と勤務先の双方が確認しやすくなります。
ただし、就労資格証明書は、新しい活動を認める「許可書」ではありません。また、転職のたびに必ず取得しなければならない書類でもありません。
現在の在留資格で就労できることが明らかな場合に、就労資格証明書を提示又は提出しなかったことを理由として、不利益な取扱いをすることも認められていません。
出典:出入国在留管理庁「就労資格証明書(入管法第19条の2)」
転職時の各手続は目的が異なります
転職に伴う手続には、所属機関に関する届出、就労資格証明書交付申請、在留資格変更許可申請などがあります。
これらは、それぞれ目的の異なる手続です。
| 手続 | 主な目的 | 手続が必要となる場面 |
|---|---|---|
| 所属機関に関する届出 | 退職や新たな契約の事実を届け出る | 対象となる在留資格で勤務先との契約が終了又は新たに成立した場合 |
| 就労資格証明書交付申請 | 現在の在留資格で行える就労活動を確認する | 転職先の業務が現在の在留資格に含まれるか証明を受けたい場合 |
| 在留資格変更許可申請 | 現在と異なる在留資格に該当する活動へ変更する | 新しい仕事が現在の在留資格の範囲外となる場合 |
| 在留期間更新許可申請 | 現在の在留資格による在留を継続する | 在留期間満了後も同じ在留資格による活動を続ける場合 |
就労資格証明書を申請しても、所属機関に関する届出が不要になるわけではありません。
「技術・人文知識・国際業務」「介護」「技能」「特定技能」など、対象となる在留資格を持つ外国人は、勤務先との契約が終了した場合や、新しい勤務先と契約した場合、その事実が生じた日から14日以内に届出を行う必要があります。
転職・退職時の届出については、当事務所の「日本で暮らす外国人が転職・退職・引越しをしたときに確認したい届出と在留手続」でも解説しています。
就労資格証明書の取得を検討したい場合
就労資格証明書は任意の制度ですが、次のような場合には取得を検討する余地があります。
- 転職後も現在の在留期間が長く残っている
- 前職と新しい勤務先で担当業務が異なる
- 一つの職種に複数の業務が含まれている
- 新しい勤務先から、適法に就労できることの確認を求められている
- 次回の在留期間更新時に、転職後の業務内容を初めて審査されることに不安がある
- 外国人本人と勤務先の双方で、在留資格との適合性を確認しておきたい
一方、「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」のように、入管法上の就労活動に制限がない在留資格では、一般的な転職に際して就労資格証明書を取得する必要性は高くありません。
在留資格や転職後の業務内容によって必要性が異なるため、一律に取得するのではなく、個別の状況に応じて判断することが適切です。
就労資格証明書で在留資格外の仕事ができるようになるわけではありません
就労資格証明書は、現在認められている就労活動を証明するための書類です。
新しい業務が現在の在留資格の範囲外となる場合、就労資格証明書を取得することによって、その業務を行えるようになるわけではありません。
異なる在留資格に該当する仕事へ変更する場合は、原則として、その仕事を始める前に在留資格変更許可を受ける必要があります。
申請中であることだけを理由として、変更後の在留資格で予定している活動を開始することはできません。
転職先の業務が現在の在留資格に含まれるか不明確な場合は、就労開始後ではなく、雇用契約や担当業務が具体化した段階で確認することが重要です。
申請時に確認される主な資料
勤務先や活動内容に変更がある場合、就労資格証明書交付申請では、申請書、パスポート、在留カードのほか、新しい勤務先や活動内容の詳細が分かる資料を提出します。
具体的には、在留資格や勤務先の区分に応じて、次のような資料が必要になることがあります。
- 雇用契約書又は労働条件通知書
- 転職後の担当業務を具体的に記載した職務内容説明書
- 新しい勤務先の事業内容が分かる会社案内
- 登記事項証明書
- 決算関係書類
- 本人の履歴書
- 学歴、専攻又は職歴を証明する資料
- 前職の退職証明書
- 転職の経緯を説明する資料
必要書類は在留資格、本人の経歴、新しい勤務先の規模やカテゴリーなどによって異なります。
「営業」「通訳」「企画」「エンジニア」などの職種名だけでは具体的な活動内容が明らかにならない場合があるため、担当業務、業務量、配属先、必要となる専門知識などを客観的に説明できる資料を整えることが重要です。
申請方法・手数料・標準処理期間
就労資格証明書交付申請は、住居地を管轄する地方出入国在留管理官署の窓口又は在留申請オンラインシステムで行うことができます。
2026年9月時点の手数料は、窓口申請が2,000円、オンライン申請が1,600円です。
勤務先や活動内容に変更がない場合の標準処理期間は当日とされていますが、転職によって勤務先や活動内容が変わる場合は、1か月から3か月とされています。
なお、2026年10月1日以降に行うオンライン申請では、就労資格証明書の交付手数料1,600円に決済手数料220円が加算され、支払額は合計1,820円となります。支払方法も、従来の収入印紙からコンビニ決済又は銀行決済へ変更されます。
出典:出入国在留管理庁「就労資格証明書交付申請」
出典:出入国在留管理庁「オンライン申請における手数料額及び手数料納付方法について」
在留期限が近い場合は更新申請との関係も検討します
転職時点ですでに在留期限が近づいている場合、就労資格証明書交付申請と在留期間更新許可申請を別々に進めることが適切とは限りません。
在留期間更新許可申請では、新しい勤務先における業務内容、雇用条件、勤務先の事業内容なども審査の対象となります。
就労資格証明書の標準処理期間が1か月から3か月とされていることを考慮し、残りの在留期間によっては、更新申請に向けて新しい勤務先の資料を整える方法も検討する必要があります。
在留期間更新については、当事務所の「在留期限が近づいたら何をする?在留期間更新の申請時期・特例期間・オンライン申請を解説」もご参照ください。
まとめ
外国人が日本国内で転職する場合、在留カードの在留期間が残っていることだけで、新しい勤務先におけるすべての業務が認められるわけではありません。
転職後の業務が現在の在留資格に含まれる場合は、在留資格の種類を変更せずに働けることがあります。その適合性について証明を受ける制度が就労資格証明書です。
ただし、就労資格証明書は任意の証明制度であり、新しい活動を認める許可ではありません。
現在の在留資格の範囲外となる仕事を行う場合は、必要な在留資格変更許可を受けてから就労を開始する必要があります。
転職に際しては、就労資格証明書だけでなく、所属機関に関する14日以内の届出、在留期限、在留期間更新との関係も併せて確認することが重要です。
さっぽろ本田行政書士事務所では、転職後の業務と在留資格の適合性の確認、就労資格証明書交付申請、在留資格変更許可申請及び在留期間更新許可申請の書類作成・申請取次ぎに対応しています。
在留資格に関する手続をご検討の方は、在留資格・ビザ申請に関する業務案内もご確認ください。
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